OWLs "R" US   〜 梟飼育者之日常 〜
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How To (2)

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1.はじめに
どれぐらいの心構えができていますか?フクロウに限らず、犬や猫や爬虫類など、
すべてのペットに当てはまりますが、ちゃんと最後まで面倒を見ることができそ
うもないのであれば、ペットとして飼うことはお薦めしません。ペットショップ
で眺めるだけで満足されるほうが、フクロウと貴方の双方にとって幸せです。

個体差はありますが、良好な飼育環境であれば、フクロウの寿命はは少なくとも
10年以上と言われています。つまり、それだけ長いスパンでの付き合い(世話)
が必要になります。最近、心ない飼い主による捨てペットの被害が、日本の各地
で激増しています。「飼えなくなったら山に放してしまえばいい」と考える人が
いるかもしれませんが、在来種ならまだしも、例えば亜熱帯が生息地の種類でブ
リード個体の鳥が、日本の山野で生きていけるとは考えられません。また、外来
種を放すということは、生態系の破壊につながります。幸か不幸か、他のペット
と比較すると、ハリーポッターの影響でフクロウ人気が高まっているとはいえ、
猛禽類の飼育には「餌」というハードルがあり、また値段が高額なため、それほ
ど爆発的に広まっていません。

猛禽類は、犬や猫と違って芸を覚えたりすることはありませんし、完全に人間に
慣れることはないようです。フクロウやその他の猛禽類を飼うかどうかを決める
前に、他のHPの掲示板や解説を参考に、自分が本当に飼うことができるのかど
うか、十分に時間をかけて考えてください。

2.フクロウを飼う前に(1)
フクロウを飼う目的によって、自ずと入手する種類が決まります。つまり、以下
の目的に対する適性は、フクロウの種類によって異なります。たとえば、一般的
にですが、小型のフクロウはフライトには適していません。ですから、フライト
が目的に含まれる場合、小型のフクロウは避けたほうがよいことになります。

@観察:いわゆるケージ(禽舎、エイビアリー)飼い。
Aペット:ケージ(または室内)で飼い馴らすが、フライトはしない。
Bフライト:トレーニングしてフライトする。
C狩猟:トレーニングしてフライト&ハンティングをする。
Dブリーディング(繁殖)

猛禽類を飼う場合、騒音についての考慮も必要です。マンションや住宅密集地に
住んでいる場合、猛禽の鳴き声が、近隣の迷惑になるかもしれません。フクロウ
の場合、種類によっては大きな声で夜通し鳴きます。繁殖期には鳴く回数が増加
するようで、首を締められた人の絶叫のような鳴き声を出す種類もいます。イン
プリントされた個体の場合、日中も鳴き声をあげる傾向が強いようです。飼う種
類を決める前に、そのフクロウの鳴き声の大きさや鳴く時間帯などについて、経
験者に質問したり、お店に確認を取るようにしましょう。

3.フクロウを飼う前に(2)
実際にフクロウを入手する前に、@餌の供給源、Aケージまたは禽舎、B担当獣
医、を確保しておきましょう。

餌の供給源は、購入した店が冷凍餌(マウス、ウズラなど)を扱っていない場合、
猛禽専門店または爬虫類専門店をあたってみましょう。私見ですが、購入後のサ
ポートのことを考えると、販売している個体用の餌を扱っていないようなペット
ショップでは、猛禽を購入しない方がよいと思います。また、餌の品質にも気を
つけたほうがよいと思います。品質の悪い餌は、予期せぬ病気の原因になる可能
性があると思います。

個体の大きさによって、適切なケージの大きさは異なります。大きければ大きい
ほど良いと思います。最低でも、個体が羽を広げることができて、多少動き回れ
る大きさを用意してあげるとよいと思います(動物堂さんやその他の猛禽専門店
を訪問して、実際に自分の目で確かめてみましょう)。スチール製のケージは、
羽を痛める原因になるので、避けましょう。フクロウを飼育している人達の多く
は、ホームセンターで材料を調達して、ケージを自作しています。ケージはなる
べく高い場所に配置したほうが、フクロウにとって良いようです。TVのように、
騒音・振動を出す物の上は避けましょう(と、動物堂さんからレクチャーを受け
ました)。

室内で放し飼いにする場合、@靴紐・輪ゴム・ヘアバンドなど紐状の物を飲み込
んでしまうことがある、A天井から下がっている電灯のヒモに絡まってしまうこ
とがある、B冷蔵庫や箪笥と壁の隙間に落っこちてしまうことがある、ので注意
してください(と、動物堂さんからレクチャーを受けました)。参考までに、私
の家ではスピックスを洋室六畳間で飼っていますが、クリアケースの上に置いた
ケージ以外に家具はなく、電灯のヒモはガムテープで天井に貼り付けてあります。
洋服架けを使ったパーチと、姿見の土台を使ったパーチを2つ置いてあります。

猛禽類をサポートしてくれる獣医さんは、なかなか見つからないかもしれません。
鳥類専門の病院に問い合わせたり、または猛禽関係のHPで質問してみてくださ
い。極力お医者さんのお世話にならないようにするためにも、日々の健康管理に
気を付けましょう。個体の体重は、健康を表すバロメーターです。毎日、給餌前
と後に体重を測定して、記録しておくことをお薦めします。また、糞の状態も、
健康状態を知る手掛かりになるので、異常がないかどうかチェックしましょう。

4.フクロウを飼う前に(3)
日本には、古来より鷹狩りの文化が存在するにも関わらず、猛禽類の飼育や訓練
に関する専門書がありません(注:以前に宮内庁から出版された鷹狩りの指南書
がありますが、絶版となっているため、古本市場で非常に高額な値段がつけられ
ています)。欧米では、鷹狩り(falconry)がスポーツとして確立されており、
複数の専門書が出版されています。日本の猛禽市場は、マーケットとして非常に
限られているため、欧米の良書の翻訳版が出版されることは、残念ながら期待で
きそうもありません。

フクロウの専門書としては、Jemima Parry-Jones が著した Understanding Owls
が挙げられます。私の個人的な意見ですが、フクロウ飼いは他の猛禽にも手を出
すことになるでしょうから、同じ著者による猛禽全般の飼育と訓練について書か
れている Training Birds of Prey をお薦めします。飼育方法、禽舎、用具の他
に、ノスリ、フクロウ、ハヤブサ、タカ、ワシそれぞれの訓練方法が解説されて
います。同書から部分的に抜粋してみましょう。
初心者向けの鳥 小型の猛禽は、初心者には向いていません。調教してフライトさせることを目的 とする場合、チョウゲンボウ、メンフクロウ、モリフクロウ、コキンメフクロウ、 コチョウゲンボウ、アメリカチョウゲンボウなど、この大きさの猛禽類は避けま しょう。その理由は非常に明快です。個体が小さいほど、経験不足によって死な せてしまいやすいからです。これらの鳥は、重量が 0.5Kg 以下です。調教期間 中に体重を詰め過ぎると、簡単に死んでしまうでしょう。小型の種類にとって、 たった 15g 程度の体重差が生死に関わるのです。大きいから調教しやすいので はなく、間違いを起こした場合に個体に与える影響が少ないということです。 適切な種類 昼行性の猛禽をフライトする場合、最初に飼う種類としてはノスリが適している でしょう。ハリスホーク(Harris' Hawk)、ノスリ(Common Buzzard)、アカオ ノスリ(Red-tailed Buzzard)が最適です。どうしてもハヤブサから始めたい場 合は、ラナーハヤブサ(Lanner Falcon)がベストでしょう。ただし、最初の数年 は broadwing を経験してからのほうが良いと思います。フクロウをフライトさ せたい場合は、ベンガルワシミミズク(Bengal Eagle Owl)が良いでしょう。こ の中型のフクロウは、性質がおだやかで管理しやすいです。タカとワシは、どの ような目的でも、初心者には向いていません。
「初心者がフライトさせるなら中型以上」が鉄則のようです。この本では、“初 心者は小型種を避けるように”と何度も繰り返し書いています。小型種を飼う場 合、観察またはペットを目的として、意味なく体重を詰めないほうがいいのでは ないかと思います。
シロフクロウ(Snowly Owls)は、気性がかなり激しいので、最も扱いが難しい 種類です。野生下の生態を理解すると、何故そのような性質なのか分かります。 シロフクロウは、森林限界よりも上に生息しており、多くの時間を岩や崖や地面 の上で過ごします。どちらかというと不器用なフクロウなので、禽舎の中には沢 山パーチを置かないほうがよいでしょう。十分なスペースと岩や、留まりやすい パーチを1〜2つ用意するとよいでしょう。フィストへの着地や留まったままで いることが、余り上手ではありません。このような理由から、シロフクロウは初 心者向けの種類ではなく、またフライトさせるよりも、禽舎の中でペットとして 飼うほうが、より適しているでしょう。
ハリポタの影響でシロフクロウを飼ってみたいと思っている人は、考え直したほ うがいいかもしれませんね。別に白くなくても、同程度の大きさの他の種類のフ クロウを購入してフライトさせたほうが、より楽しめるのではないかと思います。
フライトに適したフクロウ フクロウをフライトさせたい場合、European Eagle Owl や Great Horned Owl や Turkmanian/Iranian Eagle Owl など、大型の種類は避けましょう。これらの 大型種は、フライトさせる場所を誤ると、事故につながる可能性があります。初 心者には、ベンガルワシミミズク(Bengal Eagle Owl)、アフリカワシミミズク (African Spotted Eagle Owl)、Savingy's Eagle Owl、Magellan Eagle Owl など、中型のフクロウが適しています。
大型種を公園で飛ばしたりすると、他の人が散歩している犬を襲ったりすること になるのかもしれませんね。
hand-reared された個体は、生後4週間 parent-reared された個体よりも扱い やすいでしょうが、多少自然に繁殖しづらいようです。ただし、集団で育てられ た若鳥の場合、自然に繁殖するようです。生後2週間から、完全に独立して育て られたフクロウは、自分と同じ種類と一切コンタクトがないため自分を人間だと 思い、繁殖はしません。このような個体は避けたほうがよいでしょう。成長して 繁殖可能な状態になった時に、気性が激しくなる傾向が強いからです。生後4週 間 parent-reared された個体か、または4週間から8週間 hand-reared された 個体を選ぶとよいでしょう。 一部のブリーダーは、生後2週間の個体を勧めますが、私は絶対に反対です。十 分に飼育経験があるのなら別ですが、フクロウの雛の飼育は非常に難しいからで す。生後4週間になると、最も危険な段階を過ぎ、夜間に乾燥した暖かい部屋に 入れる以外は加温を必要とせず、給餌は1日3回で、扱いやすい大きさに成長し ているからです。生後2週間では、慎重な加温が必要で、より時間を要し、過剰 な給餌により簡単に死んでしまいます。ちゃんとしたブリーダーは、4週間未満 の個体を手放したりしません。
自分で雛から育てたいと考えている人は、十分な経験を積むまでは、生後4週間 以上の個体を選んだほうが良いようです。 5.フクロウを飼う前に(4) 販売されている猛禽類は、WC(Wild Caught)とCB(Captive Breed)の2つ のタイプに分けられます。WCは捕獲した野生下で成長した個体、後者はブリー ダーによって繁殖された個体です。ネットでショップのサイト巡りをすると、同 じ種類のフクロウなのに、値段が全然違う場合があります。その理由は、WCか CBの違いだと思ってまず間違いないでしょう。CBは飼育の手間がかかってい るぶん、WCよりも割高になります。私はCB個体しか経験がないので、どちら がよいのかは判断しかねます。ショップを訪問して、よく相談してから判断して ください。実際、流通している個体は、CBよりもWCのほうが多いと思います。 また、どのようなインプリント(刷り込み)が施されているかを、確認しておく とよいかもしれません。フクロウのインプリントの影響については、私は分かり ませんので、ショップに質問して下さい。 いずれにしても、実際にショップへ足を運んで、健康状態などをしっかりと自分 の目で確認して、購入する個体を選択しましょう。